誰かと私の備忘録

40代なかば中間管理職おじさんが、マーケティングやコーチング、勉強中のDXをベースに日々の学びをシェアするブログ

「AsIs」把握の留意点。「MECE」意外な活用法と「一次情報」の大切さ

こんにちは!でじきちです。

DX推進チームが結成し、1ヶ月が経ちました。「チームになる」ことと、「AsIsの把握」に注力した1ヶ月でした。今日は、後者の「AsIsの把握」について書いてみます。AsIs、ToBe、MVV、MECEなどの言葉が実際に活用するとなるといまいちよくわかんない、って方の理解の一助になれば嬉しいです。

<目次>

「AsIs」「ToBe」「MVV」

期初、「まずは現状理解して、課題設定して、目指すべき姿を描きたいですねー」と私が言うと、「AsIsとToBeですね。MVVも意識したいですね」と他のメンバー達が返してきて、一瞬「???」となりました。「AsIs?ToBe?MVV?『Love Is…』と『TUBE』と『HMV』なら詳しいんすけどね!ハハッ!」と往年のトシちゃんばりに乾いた笑いで返す勇気も無くすぐにググったところ、内容は同じことを話していたのだとわかってほっとしました。

  • AsIs:現在の状態。現状
  • ToBe:理想の状態。ありたい姿
  • MVV:ミッション(世の中に対する使命や存在意義)、ビジョン(ありたい姿。中長期的目標)、バリュー(やるべきこと。具体的な行動指針)

大雑把には、「MVV」の中核にある「ビジョン」を「ToBe」と捉えてもよいでしょう。「ミッション」は「ビジョン(ToBe)」のベースになり、「ビジョン(ToBe)」は「バリュー」のベースになる。これら「MVV」と「AsIs」のギャップが、所謂「課題」となり、「対策」に繋がってきます。

会社の戦略を考える場合に限らず、ものごとを考える時のおすすめは、

  1. AsIsを把握
  2. ToBeを定める
  3. 両者のギャップから課題を定める

ことです。コーチングだって、まず現状と望ましい状態を問いかけ、そのギャップを明確にするのが鉄板フローです。今読んでくださっているあなたも、悩みがあれば、一度このフレームで考えてみてください。どんなことだって、①②を踏まえずにいきなり思いつきの課題に飛びついて対策してしまっていては、本質の解決に至らず、無駄な労力、遠回りをすることにもなりかねません。いきなり対策(How)を闇雲に考えるなんてのは最悪です。有名な経営学者のドラッカーさんも、「経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」と仰っています。

正しい課題を見出す最初の一歩として、今回は「AsIsの把握」について説明します。まず、現状に関して幅広く情報を集めます。「MECE」と「一次情報」を意識して、「書き出す」ことで見える化しましょう。

「MECE(ミーシー)」

「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略。「漏れなく、ダブりなく」の意味。例えば、飲食店を考える場合に、「和食」と「洋食」について考えてみる。これはMECEではありません。「中華料理」「エスニック」などが漏れています。「和食」と「外国食」であれば、必ずどちらかに分類できるので、MECEです。では、「フォーマル」「カジュアル」「トレンド」は。これは、ダブりがあります。「フォーマル」か「カジュアル」かはMECEですが、「トレンド」かつ「フォーマル」もあれば「トレンド」かつ「カジュアル」もあるでしょう。

漏れなく・ダブりなく。どちらが優先!?

どちらが優先かというと、「漏れなく」です。ダブりがあっても効率が悪いだけですが、最初のAsIs把握で漏れがあると、先々の課題設定で、目の付け所(Where)がそもそも間違っていたとなりかねません。例えば全社の経営戦略を考えるにあたり、研究開発や製造のAsIsは深く把握しているが、営業面が抜け落ちていたとしたら、課題を見誤るかもしれません。モテたい!と思って髪型や服装の問題点ばかり意識していても、怒りっぽいとか時間にルーズといった性格的な領域や、はたまた口臭など別の問題を見落としたままでは結果は出ないです。自分にとって直視しやすい、つまり、好きだったり自信があったり、おのずと既に情報豊富になっている領域だけでなく、できるだけクールに全方位に眺めてみましょう。さらに、自社や自分のことだけでなく、ライバル達のこともある程度把握しておく必要があります。自分では強みと思っていても、ライバルをマジマジ眺めてみると、そうでもない場合もありますよね。

「枠」を意識することが大切

MECEに考える際に重要なのが、「どの『枠』内で考えるか」です。枠を設けずに考える場合も勿論ありますが、仕事で考える場合は、枠を設けないと、後の課題設定の際に自分たちにはどうしようもない世の中の課題や、明らかに他部署の課題に着地してしまうことがある。NANAのヤスの言うところの「人の庭荒らす暇あったら、てめえの花を咲かせろや」みたいなもんで、建設的な議論にならないことがあります。

MECEはアイデアや新規事業創出にも使える

AsIs把握にMECEがおすすめという話をしてきていますが、実はMECEは今無い、新しいアイデアを生み出すことにも超おすすめです。例えば、先程の飲食店の例でいけば、「和食」「外国食」という切口ですが、他にも切り口は無いかな、と考える。「肉」「魚貝」「野菜」「穀物」という切口があるかもしれない。すると入口は「動物食」「植物食」?そこから発想して、「昆虫食」レストランがあっても良いですよね。さらには、「和食」「外国食」は要は「地球食」。じゃあ、「宇宙食」レストランは?面白そう!という感じに、アイデア創出や新規事業創出を発想するツールとしてもMECEは活用できます。

「一次情報」

一次情報とは、「他の誰の手も解釈も入っていない、他ならぬ自分自身で触れて入手した情報」のこと。今の世の中、誰かがわかりやすく纏めてくれた二次情報が溢れています。でも、やっぱり大切なのは一次情報。実際に自分で見た、聞いた情報というのが無いと、肌感覚が無いので、AsIsにしてもMVVにしても薄っぺらいものになってしまいます。たとえば今回のように全社に関するデジタル戦略を考える為には、現場に行くこと。工場は実際にどんな設備で生産をしているのか。実際にバイヤーと商談している最前線の営業は、どんな想いを持っているのか。などなど、自分の肌感として持ちたいところです。息子に「勉強しろ!」というだけじゃなく、実際に今どんな教材でどんな単元を学んでいるのかや、学校や塾の雰囲気を知る為にたまには行事に参加することも大切ですね。

現状を上記「MECE」と「一次情報」に留意しつつ、整理して書き出し見える化できたら、自分たちなりの解釈まで進めてAsIsを纏めたい。考えを整理する為の便利なフレームワークとして、「SWOT」「3C」「4P」「5Force」などがあります。これらについては、調べたらすぐに沢山、教えてくれるサイトが出てくるので、そちらを参照してください。

自分たちの現状

今回私達のチームがまずやってみたのは、「社内でDX案件がいくつ今動いているのか?」を調べることです。会社の全部門の方針発表資料や、IT部に相談のあった全ての案件を纏めると、なんと100個近くありました。勿論、大半が「デジタイゼーション」※です。詳細はこれからですが、きっと完全にダブっているものや、纏めたら進化して「デジタリゼーション」※として更に良くなるものがあると思います。何故こんなに各部門でDX案件が乱立するのか。おそらく各部門において「AsIs」や「MVV」は語られているのかもしれませんが、上述の、考える「枠」が全社視点でなく個別最適であるが故、そうなっているのではないかと思います。自分も昨年までそちら側にいたので、それは仕方ないとも思います。一方、経営企画部門が全社視点での「枠」で「MVV」を描いていなかったのかというと描いていたのですが、各部門には伝わっていなかった。これもひとつの「AsIs」です。まだまだ一次情報も足りていないので、AsIs把握の旅は続きます。が、あまり長く引っ張ってもキリがないので、一旦春にはAsIsを纏めたいと考えています。

※「デジタイゼーション」「デジタリゼーション」についてはこちらの記事に詳しく書いています。

「課題設定」おすすめ本

最後に、課題設定に関しておすすめしたいのがこの2冊。「イシューからはじめよ」は有名なので読まれている方も多いかもしれません。何度読んでも、その読むタイミングによって常に違った視点で「深いなぁー」と感じます。今回の記事の内容で言えば、AsIs把握の際の一次情報の大切さなんかもわかりやすく記されています。「問題解決」には「枠」を考えることの大切さがわかりやすく記されています。この2冊を読んでちゃんと理解・実践できていたら、課題設定に関してはひとまず十分ではないかと思います。順番から言えば、「イシューからはじめよ」から読む方が、わかりやすいのでおすすめです。

 

DX推進チームができて1ヶ月。AsIsもまだまだ、これからMVVも描き、課題設定、対策の立案とやることは盛り沢山です。ではまた!