この備忘録を共有したいのは
「スラムダンク」を子供時代に読まずして大人になった人
この備忘録を読めば
「スラムダンク」は大人になってから読んでもやっぱり面白い名作であること、物語の面白さはもちろん、学びが沢山あるということがわかります
<目次>
はじめに
先日、帰宅して驚きました。何が驚いたって、映画に感化された二男と妻が「スラムダンク」全巻大人買いしていたのです。そこで私も一気読みしたわけですが・・・実に面白い!エンタメとして勿論むちゃくちゃ面白いのですが、自己啓発的な学びも多い。今回は後者の視点での面白さについてシェアしたいと思います。
大人になった今、共感できる
実は私、45年生きてきて、まともにスラムダンクを読んだことありませんでした。スポーツは野球と卓球は好きでしたが、あまりその他には興味がなくて、読む気にならなかったんですよね。
それが今、45歳になり。仕事をするようになり、老いを感じ、様々な悩みを持つようになり。主人公たちとは全く違う環境。今、本作を読んでみると、共感できることがとっても多かった。若い頃は共感しなかったのに、不思議です。
「絶対に成果を出さねばならぬ局面」とか「チームで成果を出さねばならぬ局面」なんてのが私の学生時代は少なかったけれど、それが社会人となった今では、毎日のように大なり小なりあるからかもしれません。
大人になった今感じる、スラムダンクの魅力
①問いかけの妙
持論なのですが、人生を豊かに味わうのに絶対に必要な力が、「問いかけ力」です。
相手に対し、こうしろああしろ、こうすべしああすべしと指示するよりも、適切な問いかけを投げかける方が、よほど腹落ちして動いてもらえる。なぜなら、指示やアドバイスと違って問いかけは、投げかけられた当人が考えて結論を出すからです。もちろん、相手の結論が自分の期待するものと異なる場合も出てくるので、局面は選びますが、このことを私は特に自分のチーム運営やメンバーとの対話では意識しています(育児でも意識したいと思っているのですが、息子たちに対してはすぐああしろこうしろと言っちゃういますね汗)。
スラムダンクには、「安西先生」というコーチが登場します。昔は「白髪鬼」と呼ばれ、その頃には厳しく指示を出すタイプでしたが、今はこの問いかけ力を駆使するタイプになっています。いくつか、安西先生の言葉を紹介します。読んだことない人も、聞いたことがあるのではないでしょうか。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」
「私だけかね…?まだ勝てると思ってるのは…」
「もともと君に怖いものなどあったのかね?」
「今更何を恐れることがある?」
「それは逃げじゃないのかね?」
「ワクワクしてこないかね?」
いずれも、「あきらめるな」「恐れるな」「逃げるな」「楽しめ」というように、指示や決めつけでないのですよね。それぞれの言葉を、投げかけられた側はかみしめて、自分なりの結論を出し、行動します。指示されて行動するのでなく、自分で咀嚼して結論を出して行動するので、力の入り方が違います。
そんな安西先生が時に「君がいてよかった…」と自分の気持ちを表したり「君たちは強い」「君はまだ◯◯君には及ばない」と断言すると、その言葉はとても重みを増します。安西先生の問いかけの妙を、ハラハラドキドキの物語の中で味わう贅沢。
②セルフイメージUPの嵐
登場人物たちは、不安と戦いながらも、自分自身でセルフイメージを高めることで乗り越えようとします。主人公の桜木花道は、無意識な部分もあろうけれど、セルフイメージを高める達人です。
「天才ですから!」「さすが天才!」「やはり天才!」「リバウンド王桜木!」
桜木以外のメンバーにおいても、セルフイメージを高めるシーンが多く描かれます。例えば三井というキャラ。彼は試合の中で苦しくなると、
「こういう展開でこそオレは燃える奴だったはずだ…!」
「オレは三井 あきらめの悪い男…」と自身を奮い立たせます。
自分の可能性をもっとも尊重し、信じてあげるべきなのは、他ならぬ自分自身。自分以外の人にその役割を期待するのは甘えかもしれません。スラムダンクの登場人物たちを見ていると、改めてそう感じます。バスケの試合でなくても、見習いたいと思います。
③努力を全肯定
登場人物たちは目標に向かって努力を積み重ねます。その姿は、本当に読んでいて勇気をもらえます。天才と自分を鼓舞する花道も、周りから天才と評される者も、リーダーシップに悩む者も、コンプレックスや過去と戦う者も、控えで出番が少ない者も。そして、それはライバルチームのキャラクターも同じ。
学生の頃は、努力=スポ根のイメージがありました。でも歳をとり、働くことも、日々暮らしていくことも、スポーツ関係なく、何事も努力無しには生きていけないことを痛感した今。努力したって挫折することがあることを知った今。努力にまみれる登場人物たちの姿が読んでいて本当に心地よく、自分も頑張ろうと勇気をもらえます。それでいて全編通じ、つらさよりも、前向きでポジティブなオーラが強い。本当に、とても読んでいて清々しい作品です。
④基本の大切さを再確認
この作品には、他の漫画に出てくる突飛な設定や、現実離れした必殺技は登場しません。仙豆も悪魔の実もスタンドもドライブシュートもツイストサーブも無し。タイトルは派手ですが、主人公がこんなにも基礎練を積み重ねる作品も珍しいと思います。基本の大切さを改めて実感。私も「凡事徹底」、また今日から改めて心がけよう。読んでいながら、本当にそう思えます。
私の好きなキャラクター
おまけで、私の好きなキャラクターをご紹介。
仙道
彼は、ライバル校のエースです。好きな台詞は「まだあわてるような時間じゃない」。私はすぐテンパる癖があるので、自分の中に仙道のキャラを持ちたい。そして、自分に言い聞かせていきたいです。
水戸
花道の親友。バスケ部ではなく、特に打ち込むものは描かれません。今までつるんでいた仲間が、どんどんと日の目の当たる場所で活躍していく。普通なら嫉妬したり、離れていくと思うのです。でも、彼はそんなことは微塵もなく、花道を心から応援する。他人と比べず、自分の軸を持つことがしあわせへの近道。自分が他人と比べているとき、水戸を思い出そうと思います。
好きな台詞は、花道にかける「あの大歓声が聞こえなかったのか?」。「おまえすごかったぜ」ではなく、これもあえて問いかけですね。
大人になって、未読の名作を読む贅沢
今回は、スラムダンクの自己啓発的学びの観点からの面白さについて備忘録しました。
でも、粗品さんばりに「ただぁ!」
そんなこと抜きに、物語として、エンタメとして純度100%面白い!間違いない。
ちなみに私、去年までワンピースも読んだことなかったんですよね。これも息子たちが映画にはまって、読み出して。大人になってからスラムダンクもワンピースも初見で読める贅沢。息子たちに感謝です。
まとめ
今回の備忘録
「スラムダンク」は面白い。物語として面白いのはもちろん、自己啓発的学びもたくさん。その意味でも、私のように子供のころ未読で大人になった全中年におすすめします。
おすすめの一冊
今回は当然こちら。大人買いができるのも、大人の特権!
「スラムダンク 新装再編版」井上雄彦