この備忘録を共有したいのは
成功体験が語られるサクセス本やノウハウ本、動画などで沢山インプットしているのに、なかなか成功できないなぁと感じている方
この備忘録を読めば
・サクセス本やノウハウ本、動画などとの適切な向き合い方を知ることができます
・「生存者バイアス」という言葉を理解することができます
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<目次>
はじめに
世の中には、いわゆる「成功の法則」と呼ばれるものがあふれています。
成功体験が語られるサクセス本やノウハウ本を読み込み、「この通りにすれば、自分も同じようにうまくいくのではないか」と希望を抱く。しかし一方で、
「なぜかうまくいかない」
「書かれている通りにやっているはずなのに、結果が出ない。なぜだ…」
――そんなふうに感じている方も、多いのではないでしょうか。
実のところ、それはごく自然なことなのです。
成功者の真似をしても成功するとは限らない
偉人の伝記、成功したビジネスマンの書籍、資格に合格した人の体験記、・・・。頑張って本や動画でインプットしているのに、そうはうまくいかない。それは当然なのです。だって、その本や動画で成功者である著者が語っているのとまったく同じ環境で、まったく同じ能力でことに臨めるなんてありえないので。もちろん、語られている通りにやってみてうまくいくこともあると思いますが、うまくいかない方が多くて当たり前なんです。
「このようにすることで成功した」というひとつの事例として、参考にしましょう。そしてやり方やノウハウだけでなく、その人の考え方や生き方を学ぶこと。それが、成功者の話に触れる際の醍醐味です。
失敗からこそ、より多くを学べる
むしろ、「成功者が何をして成功したか」の学びを増やすよりも、「失敗者が何をして失敗したのか」の学びを増やす方が、よほど確実でいろいろな場面に汎用性のある学びが得られるのです。
なぜならば、様々な幸運や持って生まれた能力が重なって成功することはあっても、失敗するには、何か必ず理由があるから。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。野村監督もよく仰っていたこの台詞、江戸時代の剣術書に記されている。それほど普遍の真理です。
「努力をすれば、必ず成功する」ではなく、「努力をおこたると、よく失敗する」的なことをたくさん学ぶことが、成功への愚直かつ効果的な道筋だと私は思います。
『生存者バイアス』に要注意
少し異なる視点からも、成功事例だけから学ぶ危うさを紹介します。
爆撃機の強化すべき部分はどこか?
ハンガリーにエイブラハム・ウォルドという数学者がいました。彼は、第二次世界大戦において、「爆撃機の強化すべき部分の優先順位をつける」という任務に当たりました。
データは沢山あり、調べてみると、帰還した爆撃機の大半は、翼と胴体が蜂の巣のように穴が開いていました。一方、コックピットと尾翼には砲撃を受けた形跡はありませんでした。
このデータから、軍司令部は当然、砲撃を多く受けている翼と胴体を強化すべきと考えました。しかしウォルドは強く反対しました。
さて、ここでクエスチョンです。ウォルドが反対したのはなぜだと思いますか?
それは、得られているデータが、「帰還した爆撃機」だけだったからです。つまり、撃ち落とされた爆撃機は入っていない。翼と胴体に砲撃されても無事に帰還できるが、コックピットと尾翼に砲撃を受けると致命傷で、帰還できないことの証だと考えたのです。ウォルドはコックピットと尾翼を強化すべきと提案し、それは正しかった。
これを、『生存者バイアス』と言います。「生存者」つまり「少数の成功事例」のデータで判断し、「大多数の失敗事例」が見過ごされてしまう。この概念は、現代においても非常に大切だと思います。
見えている成功の裏に、無数の失敗が潜んでいる
メディアや世の中はもっぱら成功者ばかりを取り上げ、失敗した敗者は表舞台には出てきません。そして、我々は見えている情報で物事を判断しがちです。でも、その裏にはたくさんの異なる情報やデータが潜んでいることを無視してはなりません。
たとえば・・・
- アンケートに答えてくれた人の意見で判断しがちだが、アンケートに答えていない多くの人の意見はどうだろうか?
- サプリメントのテレビ広告。ダイエット効果を華々しく語っているが、摂取して痩せなかった人のデータは?
- 進学塾のチラシの合格者の声。不合格の人の声やデータは?
- 当たると話題の予言。外した予言は?
さらに、次の点にも注意が必要です。意外に、成功者の共通点が、失敗者にも当てはまったりしていないだろうか・・・?
- 成功したIT企業がフルリモート勤務だと紹介。フルリモートで失敗している企業も多いのでは。
- 打者が得意とされているコース。最も打ち取られているコースも同じだったりしないか?
意図的に成功事例をアピールすることが世の中の常。成功者に接する際は、そこには失敗に関する情報が明かされていない場合が多いことを冷静に意識しておくことが大切です。
成功者は数少ないから、稀有な存在だから目立つのです。その裏には、表舞台に出てこない、あるいは表舞台から退場した、無数の、無名の失敗者がいるという事実を覚えておきましょう。
まとめ
成功者の考え方を学ぶことや、そのやり方を自分でもやってみるのは悪いことではありません。憧れや、信じる心も力になります。一方で、今回紹介したような視点も忘れず、失敗者や失敗事例からもおおいに学びましょう。
WEBやSNSの世界でも流行りのメソッドや一発逆転の成功物語がいっぱい。流されず、自分自身の目で多角的に物事を捉え、地に足をつけて学んでいきましょう。