誰かと私の備忘録

日々の仕事と暮らしからの気づきや学びを「備忘録」として、同じ悩みや境遇の方向けにシェア◆大手企業にてマーケティング20年、現在はインターナルコミュニケーションリーダー◆家ではポンコツ、妻と息子たちに教わることばかり◆昭和平成カルチャー好き◆日本マーケティング協会マイスター|生涯学習開発財団認定プロフェッショナコーチ|ITパスポート

ミセス10周年ドキュメンタリー映画『THE ORIGIN』ネタバレ感想

この備忘録を共有したいのは

・ミセス(Mrs. GREEN APPLE)が好きな人

・映画『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』を観た人

この備忘録を読めば

40代後半、壮年JAMSのイチ感想に触れることができます

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<目次>

はじめに

2025年11月28日。Mrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)のファンにとって、忘れられない一日となりました。デビュー10周年の節目を飾る2つの映画、『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』と『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』が同時公開されたのです。

MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN

こちらは2025年7月に開催された伝説のライブ「FJORD」を映像化したライブフィルム。日本人アーティスト史上初となるIMAX®上映も行われ、あの圧倒的な没入感を映画館で再体験できるという贅沢な試みです。

MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~

そして、本記事で深く掘り下げたいのが、このドキュメンタリー映画『THE ORIGIN』です。「原点」を名に冠した本作は、ミセス初のドキュメンタリー。新曲『Variety』が産声を上げるまでの約300日間に完全密着し、メンバーの素顔、そして音楽という魔物に対してどこまでも真摯に向き合う姿を克明に追っています。


アラフィフの私にとっても、ミセスは唯一無二の”ヒーロー”

私は現在40代後半。長男がミセスの大ファンで、彼に勧められて聴き始めたのがきっかけでした。今回も、長男と一緒に早速2本の映画を鑑賞してきました。

鑑賞後に残ったのは、ただただ「圧倒された」という感覚です。

そして確信したのは、アラフィフの私にとっても、Mrs. GREEN APPLEは間違いなく「ヒーロー」であるということです。野球界で例えるなら、王・長嶋、イチロー、あるいは大谷翔平選手。彼らのように、自らの才能に甘んじることなく、血の滲むような努力と研鑽を積み、誰も見たことのない景色を見せてくれる存在。

自らのすべてを投げうって「芸事」に邁進する姿は、同じく2025年に公開された映画『国宝』が描く世界観とも、どこか通じるものがあると感じました。才能だけではなく、犠牲・覚悟・引き換えにしたものまで含めて描かれる点が、この2作品には共通しているように思います。

もっくん(大森元貴)は映画の中で、「今の自分たちの内側を記録しておくことに意味がある」と語っていました。その言葉に触発され、私もこの40代後半という今のタイミングで、この映画を観て感じた瑞々しい感情を、自分自身の未来へのメッセージとして書き残しておきたいと思いました。

というわけで、ここからは『THE ORIGIN』の感想を、7個のキーワードとともに備忘録的に綴っていきます。

⚠️注意!以下、ネタバレを含みます。

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1. 「仕事に対する姿勢」をあえて公開する意味

もっくんが語った「今の内側を記録する意味」。それは単なる10周年の記念碑的な意味だけではありませんでした。

フェーズ2の目的であった「ミセスをより多くの人に知ってもらうこと」を達成し、多くの人がミセスを知るようになった今だからこそ、自分たちの信念や理念を改めて言語化し、説明しなければならない。そうしないと、自分たちの本質が正しく伝わらないという、一種の危機感にも似た使命感を感じているようでした。

私は長年、企業でマーケティングに携わっていますが、この視点には非常に共感しました。現代の消費者は、商品のスペックだけでなく、その背後にある「物語」や「思想」に共感して選ぶようになっています。開発の裏側や製造現場を公開し、その姿勢に惚れ込んだファンがつく。

ミセスほど売れていてもなお、その感覚を研ぎ澄ませているもっくんのセンスには脱帽です。「売れてるからいいや」ではなく、自分たちの音楽に対する真摯な姿勢をお客様に示す必要性を熟知している。メーカーに勤める身として、単に売れる商品開発をするだけでなく、「モノづくりへの姿勢」を世の中に示すことの大切さを、改めて痛感させられました。

2. メタ認知による「俯瞰して冷静な」ジャッジ

今のバンドの状況を正しく捉え、今何が必要かを判断する。もっくんを見ていると、驚異的な「メタ認知能力(自分の思考や行動を客観視し、コントロールする能力)」の持ち主だと感じます。

印象的だったのは、スタッフから年末の歌番組の選曲を相談されたシーン。候補として『ビターバカンス』が挙がった際、彼は「(年末、みんなが休んでいる時期に)今、このメッセージは響くのかな?もう、みんな休んでるんじゃないか」と冷静に却下しました。自分たちの歌いたい曲ではなく、聴き手の状況を俯瞰して考える。この視野の広さとバランス感覚が、彼らのヒットを支え、10年間、走り続けてきた理由なのだと感じました。

なお、「メタ認知」は単に「冷静」という意味ではありません。感情を持ちながら、感情に飲み込まれないということだと私は認識しています。

もっくんが曲作りの最中で「飽きたー!!」と言いながらソファーにひっくり返るシーンがあります。

これはいわゆる「感情のラベリング」といって、客観的に自分の状態を認識&言語化・口にすることで、負の感情の度合いを下げる手法。なかなか意外にできることじゃないと思います。

 多くの人は、「飽きた」「しんどい」「詰まった」この状態を適切に見つめずに無理を重ねてしまう。もっくんは、止まることを恐れず、状態を言葉にしてから、また前に進む。

3. 「言語化」という名の儀式

映画を通して何度も耳にしたのが「言語化」という言葉です。「自分が腑に落ちるために今話している」ともっくんは語ります。誰かに説明するためではなく、“自分が納得するために言葉にする”。とても大切なことだと思いました。

  • 映画主題歌のコンセプトを練る際、「今までを歌うのではなく、これからを歌う」と定義。
  • ひろぱ(若井滉斗)とりょうちゃん(藤澤凉架)に対し、「肩の力が抜けている」と「気が抜けている」の違いを言語化するよう促す(もっくん自身の解釈は、「品の良さの有無」)。
  • 「成熟なんてしたくない。完成形になりたくない。でも綺麗にはなりたい」という哲学。

これらはすべて、曖昧な思考や感情に名前をつけ、自分たちの道標にするための重要なプロセスなのだと感じました。

4. 日々の積み重ね:一つも階段を飛ばさない

Billboardで1位を獲っても、10万人を動員しても、彼らは驚くほど冷静です。

その理由が、ひろぱが語った「毎日積み重ねてきているから、都度都度の達成に『わーっ!』という突然の感動はない」という言葉でしっくり腹落ちしました。

たしかに、自分に置き換えても、若い頃と異なり、都度都度の成功体験やその逆でも
一喜一憂しないようになっている。自分なりに積み重ねてこれているからなのかな、と、ミセスのメンバーに気づかせてもらえた気がしました。

また、ひろぱの発言を聞いたもっくんが、「俺ができない言語化をしてくれた!」と感動していたのも印象的でした。言語化は、ひとりでやるものではない。バンドという共同体の中で、互いの言葉が、互いの思考を前に進めているんだなぁ。自分のチームもそうありたい、そういう環境にしたいと改めて客席で身の引き締まる思いでした。

村上葉子ディレクターが語った「このバンドは一つも階段を飛ばしていない」「大森くんが間違えない」という言葉。それは、もっくんが一つ一つの事象を深く考え、納得するまで「言語化」し、丁寧すぎるほど段階を踏んできたからこそ、迷いなく進めているのだと分かりました。

5. 「逆説」を生きる歌詞の凄み

もっくんは時折、唐突に問いかける人なんだなって、映画を観て知りました笑。

イタリアのカフェでジェラートを食べながら、りょうちゃんとひろぱにおもむろに
「新曲のタイトルが決まりました。なんだと思う?」。
そして、曲作りの密着取材の最中、「ミセスは何を歌っていると思う?」。

後者の問いに対するスタッフの答えは「人間の素晴らしさ」でしたが、私は心の中で「愚かな人間、悲哀ある人生の素晴らしさ」と答えていました。

もっくんの語る内容には、逆説的なフレーズを含むことがとても多い。

「成熟した」と「夢の途中」、「しあわせ」と「むなしさ」、「生きていく辛さを肯定」…

そして歌詞にもそれは多く現れていて、本映画の主題歌であり、10周年記念ライブ『FJORD』で初めて披露された『Variety』においても

「愛されたい と歌うたびに 思い知る 愛の当たり前に」

「信じたい と歌うたびに 思い知る 疑い深さに」

「虚しさを歌うたびに 気づくよ『僕は幸せ』」

逆説的なフレーズが印象的です。

人間は、人生は、そうキラキラしたものではないと思います。でも、その汚さ、愚かさ、辛さ、悲しみなどに、人間の、人生の愛おしさがある。

私の心の中にある、そういった気持ちの琴線をミセスの楽曲は震わせてくれるのです。

昭和を代表するスター・美空ひばりさんの『愛燦燦』で、

「人は哀しい 哀しいものですね」「人はかよわい かよわいものですね」

「人はかわいい かわいいものですね」「人生って嬉しいものですね」

とありますが、それに近しい感動を令和のスター・Mrs. GREEN APPLEの楽曲からも、
感じるのです。 時代は変わっても、歌が掬い上げる“人間の本質”は変わらないのかもなとしみじみ思いました。

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6. 「孤独」との契約

週刊誌に記事を書かれたひろぱに、もっくんは「甘いね」と一言。
「孤独に辛くなって何かに逃げたのだとしたら、甘い」「孤独と引き換えに、色々な経験をさせてもらっている」とコメントします。

言葉だけを切り取れば、とても厳しい。でも、これは突き放しではなく、覚悟の共有だと感じました。

「学校に行かず、曲を作る。それを正解にしたかったから、生業にした。それでも、成功してその賭けに勝っても、過去にそのタイミングで大事にできなかったことはそのタイミングでないともう二度とできないということを、ワンマンライブで知った」。

その寂しさをもっくんは、これまで埋めようとしてきました。だからこそ、人一倍、その道のりの「孤独」を大切にしているのだと思いました。

孤独を否定せず、価値として受け止める。それは、簡単なようで、とても難しい姿勢です。

もっくんの創る楽曲を自分たちが鳴らすことによってミセスらしさが生まれるというひろぱ。求められる技術レベルの高さ、意識レベルの崇高さに辿り着く道のりは
それはそれは孤独なものだと思います。りょうちゃんも、ミセスで自分が劣っていると思われていた当時の心境を語っていました。

表には見えないけれど、3人それぞれが、違う形の孤独を背負っている。その前提があり、互いにメンバー同士がそのことを認め合い、慈しんでいるからこそ、バンドとして成立しているのだと感じました。

ひろぱとりょうちゃんの2人が、互いのメンタルを心配していることが映画の中のそれぞれのインタビューからとても伝わってきて、それも素敵でした。

もっくんも、仕事の同僚としては厳しいコメントをしつつも、「友達としては、『そりゃそうよ』」と、共感できる、心配になる、という心情を吐露していました。

この切り替えができること。それもまた、長く続くチームの条件なのだと思います。

自分にも孤独はある。「孤独との向き合い方」についての学びになりました。

7. 徹底したギバーとしての在り方

もっくんのモットーは
「エンパワーメント(人に力を与える、勇気づける、成長支援する)」
なんだろうな、とつくづく感じました。

だから、舞台に上がるときのプレッシャーがない。舞台を終えた帰りの車でも、
もうプロデューサーの顔になっている。

「評価される側」から「価値を届ける側」への視点移動。「自分の才能を見てくれ」ではなく、「いかに届けるか、いかに楽しませるか」。この「ギバー(与える人)」としての精神こそが、フェーズ2の象徴なのだと思いました。

上述の、年末のテレビ番組で披露する選曲といったひとつのささいな事例をとっても、主語が自分たちでなく、聴いてくれるお客さんなのです。マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーは、「価値でなく、顧客の創造」が重要と説きました。その心は、自分たちが良いと思う価値であっても、世の中のニーズに合っていなくて、顧客が生まれなければ何の意味もなさないということです。このことを、改めて思い出しました。

私自身、プレゼンや講義を行う際、「何か一つでも聴き手のプラスになるお土産を」という気持ちで臨んだ時ほど、良いパフォーマンスが出ることを知っています。それは、沢山のチャレンジをして、一定の自信がついてからようやく手に入れることのできた境地。彼らはそれを、この若さで体現しているのです。

まとめ

今回の備忘録

映画のパンフレットの質問で、もっくんはこう答えています。

「休日のお気に入りルーチンは?」→「休めている時間はないです」
「あなたにとってミセスとは?」→「ストレスです」

この「ストレス」という言葉は、決して後ろ向きなものではありません。この巨大な負荷、緊張感こそが「ミセスであることの証」であり、生きる意味そのものなのだと、映画を観れば分かります。

何事も本気でやることの尊さ、そして彼らもまた、葛藤し、傷つく「一人の人間」であること。その姿に、アラフィフの私も大きな刺激とエネルギーをもらいました。

今回、ミセスのことがまた、ますます好きになりました。
「若者に人気のバンドだから」でも「息子と共有できる趣味だから」でもなく、「人生を賭けて仕事に向き合う姿」を、この年齢になったからこそ、真正面から受け取ってしまったからだと思います。

ちなみに。映画ではメンバーのお茶目なシーンもたっぷり観られます。個人的なツボは、もっくんがメンバーの演奏を鼓舞しようとする時の表情や動きです。めちゃくちゃ良いシーンなのですが、動きのキレが良すぎて、なんだかコロッケさんのモノマネに見えてしまい、感動しながらも少し笑ってしまいました(笑)。

そんなチャーミングさも含めて、やっぱりミセスは最高です。この備忘録が、いつか未来の自分を励ましてくれることを願って。