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子供の頃から本が好きです。
小説は、自分では経験し得ない事を体験できたり、自分の経験に基づく琴線に触れたり。様々な感情を呼び起こされるのが好きです。ミステリーは、自分へのご褒美にエンターテイメントとして堪能します。自己啓発やビジネス書は、沢山読んでいるうちに「あの本も同じ事を言ってたなぁ」となんだか自分の中で真理めいたものが見えてくる瞬間が好きです。
2023年もそこそこ本を読みました。小説も、自己啓発本も、ビジネス書も、漫画も。何十年ぶりの再読も含め、今年の私的BESTです。昨年と違って、今年はミステリーが多くなりました。
※私が2023年に読んだだけで、発売が2023年ではない
<目次>
第5位 「洞爺丸はなぜ沈んだか」上前 淳一郎
亡父の本棚にあった一冊。実生活で悩みの最中読んだが、読んでいる間は忘れて引き込まれ、一気読みした。
映画タイタニックを知る人は多いだろうが、日本にもそれに匹敵する悲劇、そしてそれに付随する物語があったのを今、どれくらいの人が知っているのだろうか。2人の船長の心理描写は危機における考え方や判断、振る舞いとして感じる、学ぶところが多い。乗客それぞれの物語も、タイタニックに劣らず悲哀に満ちている。
このような作品は絶版にすべきでなく、後世に伝えていくべきだと思う。
第4位 「ロスト・ケア」葉真中 顕
平均寿命は伸びているが出生率が低下して若者が減っている。結果、要介護者を健康な若者が支えることに歪みが生じる社会になっている。これはもうずっと「わかりきっていること」。
一部の裕福な家族だけが高額のケア施設に介護を担ってもらう「安全圏」に入ることができて、他は厳しい介護の実態がある。我が家もそうだ。その社会問題に真正面から向かい合っている。
トリックもシンプルであるが、綺麗に騙された。相撲でがっぷり四つ向かい合って、綺麗に上手投げをくらった印象。ありがちな設定なようで、初めて読んだのが意外だった。面白かった。
第3位 「満願」米澤 穂信
小さい頃、寝る前に童話やおとぎ話を読んでもらうのが好きだった。自分の瞳の宝石を目の見えない人に分け与える王子像、みたいな。メルヘンで、少しなんだか怖くて。あの頃は、人生が何たるかなんてわかっちゃいなかった。でも、何かを隠喩する、そんな物語の面白さは感じていた。
おっさんになり、人生の辛酸を知るようになった。そんな、大人の為のこれは童話のようにも思う。人生の、人間の、嫌なえぐみのある所を、6篇の物語は其々付いてくる。そのえぐみにわかりみが沁みる。
特に「夜警」「万灯」が心に触られる気分。面白い作品集を読んだ。
第2位 「六人の嘘つきな大学生」朝倉秋成
会社でランチの間も読む手止まらず。後半は怒涛の伏線回収、驚きのミルフィーユ。
読んでる途中でオセロが一気にひっくり返る、そんな話は沢山読んできた。本書はそれが二転三転。最後は白黒さえもが曖昧に。でもなんとも言えぬ爽快感。だって“人生”って、“人間”って、そういうものだと思うから。
就活時の自分の魅せ方。就職してからの立ち振る舞い。そして本当の姿。自分という存在に思わず思い馳せる。
強引なミスリードにミステリとしてはややアンフェアな想いしつつも面白い。だからこれは、騙されたくて読む本。それが快感。二度読みの快楽。
第1位 「向日葵の咲かない夏」道尾秀介
これは度肝抜かれた!軽い気持ちで読んでみた本書。夏だし、表紙爽やかだし、タイトル素敵だし。サザンのさよならベイビー口ずさみながら気楽に読みはじめたら、特に後半、なんとも言えない違和感を纏い始める。
二度読み必至と言われる小説多いけど、これは正真正銘、ほぼ全ての行が二度目に風景が変わる。大胆かつ緻密な筆力が凄い。
同じように衝撃受けたイニシエーションラブは昔、本好きの友達に薦めまくってたけど、これは世界観がクセ強いからちょっと慎重になるなー。一級品のミステリー、かつホラーでうすら寒く。やっぱり夏にちょうど良い。
というわけで、でじきち的2023年BEST本(小説、ミステリー)でした。来年はどんな読書ができるかな。楽しみです!
ちなみに6位以下はこちら。
出典:でじきちさんの本棚 - 読書メーター (bookmeter.com)