誰かと私の備忘録

40代なかば中間管理職おじさんが、マーケティングやコーチング、勉強中のDXをベースに日々の学びをシェアするブログ

『ジョブチューン』はファンを生み出す凄いコンテンツだ

昨晩は『ジョブチューン』を観てました。大好きなローソン『プレミアムロールケーキ』が見事1位に輝いて嬉しかったです。

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今回はローソンとくら寿司。また両企業のファンになりました。この番組、審査の方にボロクソに批評されて可愛そうだと思うこともありますが(価格やターゲットを無視した批評の場合が多いように感じます)、企業にとっては相当プラスの大きい番組だと思います。

<目次>

「ジョブチューン」の凄いところ

① “物語”を見せることが出来る

企業がその商品にどれだけ熱い想いで取り組んでいるのか、ミニプロジェクトXみたいな感じで取り上げてくれるので、とても観ていて共感が生まれやすいです。合格するかハラハラさせる実況やBGMで、思わず応援したくなります。
今回のくら寿司で取り上げられた、各地域限定の『くらの逸品』というシリーズ。漁師の皆さんの想いを背負って作り上げる過程を通じて、くら寿司の企業理念や志がとても伝わってきました。
しかし、東北限定の宮城県閖上産赤貝が不合格になってしまいます。希少で高価な閖上赤貝を回転寿司の価格で多くの生活者に提供するというチャレンジングな取組で、割れ貝を調達したり冷凍という工夫がありましたが、審査員いわく「冷凍したことで本来の美味しさが大きく損なわれている」とのことでした。それを受け、担当の方の「産地の人に謝らんといかん。想いで商品を出してはいけなかった。本物は本物で出さないとブランドを既存する…」と絞り出す学びのコメント。そして社長の「絶対に無知、難しい、出来るはずないよと笑われることにチャレンジして超えていくから独創的な商品が生まれる。これからに繋げるのを改めて今決意した」という逆境での力強く前を向くコメントに、私もメーカーの開発に携わる者として、強く胸に響くものがありました。

「合格」の商品は勿論プラスの広告効果がありますが、上記のように、「不合格」の商品こそが”物語”に”ドラマ”を生み出します。一度不合格になった商品のリベンジもたまに登場し、これが”ドラマ”としてとてもわかりやすい。

印象に残っているのは、以前ローソンが生ガトーショコラのリベンジに挑んで、見事成功した時のこと。審査員の方がしばしコメント出来ずに目頭を押さえ、「(審査員の言うことを)素直に受け取ってすぐに何度も実行するということは出来そうで出来ない。それをやって、ここまでの味に持っていくってことは素晴らしい・・・こんな部下が欲しいなって思いました」と涙ながらに称えていました。ローソンの皆さんも審査員の皆さんもスタジオの皆さんも、茶の間の私も感動でした。

② “透明性”を伝えられる

素材や製法へのこだわり、実際に作っている風景、そしてなにより従業員の泣き笑う顔が見えるということで、普通なら生活者に伝えられないことまで“透明性”を持って伝えられる。演出は勿論あるとはいえ、これもこの番組の大きな魅力だと思います。

これからのマーケティングのキーワードとして私は、“透明性”があると思っています。予測不能なVUCA(Volatility:変動性 / Uncertainty:不確実性 / Complexity:複雑性 / Ambiguity:曖昧性)と呼ばれ、モノを見る目がシビアなZ世代が購買層になってくる時代。企業からの上っ面だけのメッセージでは、信じてもらえません。
赤城乳業が『ガリガリ君』10円値上げを、社長をセンターに全社員で謝罪するというインパクトの強い広告で訴求したのは2017年。そのあけっぴろげな姿勢が注目された、その頃からこのような流れは始まっているように感じます。

私の好きなアパレルブランドのマザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念とし、お客様に、現地工場の職人と一緒に世界で一つだけのエコバッグやストールを作るツアーを実施しています。途上国の生産現場に入って生産者と会話しながら、どのように製品が出来ていくのかを体感できる。すごく”透明性”のある取組だと思います。

同じくアパレルで、“徹底した透明性”を企業理念に掲げて2010年代後半に注目されたのはサンフランシスコ発の D2C(Direct to Consumer)ブランド、エバーレーン。公式サイトですべての商品の生地やファスナーなどの素材、工場での人件費、関税、輸送費 の原価まで公表し、利益が一目でわかるという、驚きの透明性。しかしながら、従業員解雇や伴う労働組合とのやりとりまでTwitterで公開されていくにあたり、逆にブランド価値が下がっていってしまう事態にもなりました。サステナブルに継続して透明性を出していくことは、容易でない側面もあります。

スーパーの野菜売場では生産者をアピールするものも多く、YouTubeでは嘘偽りの効かない一発録りの『THE FIRST TAKE』や、スッピンからの変貌をありのまま見せるメイク動画も人気。

これからは、“透明性”のない企業やコンテンツは、淘汰されていくと思います。

まとめ

“物語”と“透明性”。

皆さんの本業でも副業でも、意識してみてはどうでしょうか。

そんな想いで、ローソンプレミアムロールケーキを美味しくいただきました。明日はくら寿司行きたいなぁ。