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アイデアがひらめきやすい人の特徴&ひらめきやすい場所。実例とメカニズム

この備忘録を共有したいのは

アイデアを考えることが必要な仕事をしているけれど、集中してもなかなかアイデアがひらめかなくて煮詰まることの多い人

この備忘録を読めば

  • 実例を交えながら、アイデアがひらめきやすい人の特徴とひらめきやすい場所、そのメカニズムがわかります
  • ひらめいたアイデアを無駄にしない心構えがわかります

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<目次>

はじめに

今の世の中には、アイデアを作り出す発想法やノウハウが検索すればたくさん出てきます。皆がその発想法やノウハウを使いこなすことができればこの世界はアイデアマンであふれているはずですが、そうではないですよね。アイデアを生み出す発想法やノウハウ以前に、アイデアがひらめきやすい人の特徴といったものがあるのでしょうか。

パレートが示した「発明家」の特徴

1800年代から1900年代にかけて活躍したイタリアの社会学者ヴィルフレド・パレート(「2:8の法則」で有名)が、その答えを示唆しています。彼は、世の中の人間は「新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている人間」と「型にはまった、決まったことを着実にやる、保守的な人間」の二つに大別できる、と論じました。そして、発明家は「新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている人間」であると。

前半の「新しい組み合わせに」の意味は、アイデアは何もないところから降って沸くものでなく、既知情報と既知情報との組み合わせから生まれるのだということ。

今回の記事で注目するのは、後半の「つねに夢中になっている」という部分です。

ニュートンが万有引力の法則を発見した方法

万有引力の法則を発見したニュートンは、「どのようにしてその法則を発見したのか」と問われ、「いつもそのことを考えていたから」と答えました。

「りんごは木から落ちる」誰でも知ってる一般知識ですし、その現場を見たことのある人も沢山いたでしょう。でも、それを自分の頭の引き出しにある専門知識(地上の物体とは別の原理で運動すると信じられていた月などの天体の動き)と掛け合わせて、万有引力のアイデア(月にもりんごを落とすのと同じ力が働いている)に昇華させたのはニュートンただひとりでした。きっと彼ほど、地球の物理法則について「つねに夢中になって考え続けていた」人はいないのではないでしょうか。

アルキメデスは風呂の湯があふれるのを見て、浮力の原理を発見した。これも同じだと思います。

ひらめいたのは”偶然のたまもの”か?

「偶然のきっかけでひらめいた」「アイデアは偶然のたまもの」そんな神話のようなエピソードも、前提条件として、「そのことを普段からよく考えていた」ということを見逃してはいけません。

集中してアイデアを考える時間を持つことは、当然に大切なことです。ただ、実はひらめきはけっこう、それ以外の時間にやってくる。それはさほど不思議なことでもなく、実際に多いのです。読んでいる皆さんの中にも、経験がある方もおられるのではないでしょうか。

ポイントは、普段からそのことをよく考えていることで「無意識でも頭のどこかで考えている」そんな境地に近づくことです。ひらめきを待ち構えている時間を無意識の時間まで広げることが、良いアイデアを生み出すのに効果的なことなのです。

つまり、アイデアがひらめきやすい人の特徴はズバリ、「無意識でも頭のどこかで考えているくらい、普段からそのことをよく考えている」ことです。

ひらめきのメカニズム

フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、上記の「無意識にも頭のどこかで考えている」境地について1908年の著書「科学と方法」の中で、次のように詳細に記載しています。

  1. 意識的に問題に取り組んだ後、しばらく問題から離れてみるべし。
  2. 問題から離れることで、うまくいかないアプローチや観点の固着から離脱できる。さらに、自分の中の長期的記憶における、問題に直接関連する情報だけでなく、間接的に関連する情報についても活性化される。問題と関係のない情報にも強制的にランダムに刺激を得ることになる。
  3. 意識が問題から離れた後も、無意識が継続して問題に取り組み続ける。
  4. 上記ステップを踏まえて、天啓(ひらめき)が訪れる。

つまり、アイデアを意識的に考えることをやめることで、凝り固まっていた考え方から解放される。そして自分の中の過去の記憶情報や、目にする耳にする関係ない情報から刺激を受けることで、アイデアがひらめくというのですね。

「意識的に考えることをやめる」というのは一見、「普段からそのことをよく考えている」というこれまでの主張とズレたことを言っているように聞こえるかもしれません。ただ、ポアンカレも「まずは意識的に問題にちゃんと取り組むことが重要。でないと、解きたい問題に向けて無意識を働かせることができない」と語っています。「解きたい問題に向けて無意識を働かせる」、ここまでの状態に持っていくには結局、「普段からそのことをよく考えている」ということが必要なのです。

ニュートンがりんごの木を眺めていたり、アルキメデスが風呂に入っていた時はおそらく、意識は問題から離れていたでしょう。ただし、無意識状態でも頭が働いて、ひらめきの天啓が訪れた。それがどのようにしてと問われれば、ニュートンが答えたように「いつもそのことを考えていたから」ということになるのだと思います。

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アイデアがひらめきやすい「三上」

では続いて、アイデアがひらめきやすい場所について。北宋の文化人・欧陽脩は良い文章がひらめく場所として、「三上」を唱えました。三上とは、「馬上」「厠上(しじょう)」「枕上(ちんじょう)」。つまり、現代でいえば「移動中」「トイレや風呂」「ベッド」といったところでしょうか。今だと、スタバやタリーズなどのカフェなんかも入ってきそうですね。集中して考えている時以外に、意外なところで良いアイデアがひらめく。ひらめきのメカニズムが、1000年以上前の北宋の時代から経験則として知られていた証だと思います。

このような背景から、最近の大学やオフィスでは、集中して考える会議室やデスク以外のアイデア発想場所として、カフェエリアや談話スペースを設けているところも増えてきています。

ちなみに私の大好きなMr.Children桜井和寿さんも、新しいメロディーや歌詞が思いつくのはお風呂やトイレ、サウナなどの水回りと、ジョギングや自転車での運動中だとか。「作ろう」と思っている時でなく、お風呂に入ってリラックスして何も考えていない時や、運動で息を切らして何も考えられない時が多いと語られていました。

考えながら眠りにつくのも効果的

「三上」の中に「枕上」すなわちベッドの上があると紹介しました。眠りにつく前にベッドでぼーっと考えている時に思いつくことももちろんあると思いますが、意外に多いのが、眠っている最中にはっとひらめくことです。究極の「無意識でも頭のどこかで考えている」状態だと思います。

夢でひらめいた事例は実は多く、ラリー・ペイジはすべてのウェブページをダウンロードして保存する夢をみたことがGoogleのアイデアに繋がりました。メンデレーエフは元素の周期表を夢の中で見た。ケクレは複数の蛇が自分のしっぽを加えて回転しながら繋がって鎖を作っていく夢から、ベンゼン環をひらめいた。当時USJのCMOだった森岡毅さんは、ジェットコースターが走り抜ける映像が逆回転再生される夢をみて、「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」を後ろ向きに走らせるアイデアをひらめきました。

いつでもアイデアをメモれる準備を習慣づけておく

このように、アイデアが「三上」はじめいろいろな場面でひらめくことを踏まえると、いつでもどこでもアイデアをメモれる準備をしておくことが大切です。私も昔は小さなメモ帳を持ち歩いていましたし、ベッド脇のテーブルにも必ず付箋とペンを置いていました。でも、今は便利な時代、スマホがあるのですぐにメモすることが可能です。メモ帳アプリでもGoogleドキュメントでも音声録音でも、もちろんアナログでも何でもよいので、自分がやりやすいメモ習慣を作っておきましょう。さらにこれからはスマートウォッチ以外にもメガネやイヤホン、首にかけるタイプなどの様々なウェアラブルAIが登場してきますので、どんどん、思いついたアイデアをメモりやすい便利な環境になってくるはずです。ひらめいたアイデアを無駄にしないよう、いつでもアイデアをメモる準備をしておく心構えを持つようにしましょう。

まとめ

今回の備忘録

  • アイデアがひらめきやすい人の特徴は「無意識でも頭のどこかで考えているくらい、普段からそのことをよく考えている」こと
  • アイデアがひらめきやすい場所は「移動中」「トイレや風呂」「ベッド」「カフェ」など
  • アイデアを意識的に考えることをやめることで、凝り固まっていた考え方から解放される。そして自分の中の過去の記憶情報や、目にする耳にする関係ない情報から刺激を受けることで、アイデアがひらめく
  • いつでもどこでもアイデアをメモれる準備をしておくことが大切

今回の記事を参考に、アイデアがひらめきやすい「ひらめき体質」になりましょう!

アイデア発想に関する参考リンク

今回の記事でアイデアひらめき体質になった方は、いよいよ次はアイデア発想法やノウハウを自分のものにしてください。ぜひこちらのアイデア発想法の記事を読んでみてもらえればと思います。

文中で紹介したパレートの発明家の特徴「新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている」。前半の「新しい組み合わせの可能性」について興味のある方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。