この備忘録を共有したいのは
会社でDXを推進することになったけれど、何を意識して進めればよいかわからない人。特に、今までDXが全然進んでいない企業のDX担当
この備忘録を読めば
DXを推進するにあたって大切にすべき勘所がわかります
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<目次>
はじめに
今までデジタル・IT・DXなんてほとんど進んでいない、世の中に遅れているんじゃないかと焦る自社が、DX推進部門を設立。突然その役割を担うことになったら…。困りますよね?私がまさにそうでした(しかも私はデジタル音痴)。今回は、私自身がもがきながら身をもって経験した”DX推進の勘所”を、失敗事例も交えながら共有します。同じ境遇の方はぜひ、参考になさってください。
1年間で身をもって経験した、DX推進の勘所
「DX推進」という言葉に、私は最初、ITを駆使したスマートな無機質な取組をイメージしていました。デジタル知識が最も重要で、ほぼそれに尽きるんだろうなと思っていました。でも、実際に1年間DX推進の仕事に向き合って、その考えは大きく変わりました。今、私にとってDX推進という仕事の勘所は、
- 人の想いを知る。
- 人と人とを繋ぐ。
- 現地現物を知る。
- 創業の理念を知り、今に繋ぐ。
上記のように、超アナログです。
人の想いを知る。
最初の数か月、まずはAsIs把握ということで、全社で進んでいるDXと呼ばれている案件を整理したら80件以上もありました。社長が「DXやるぞ!」といったものだから、各部門、わちゃわちゃといろんなプロジェクトをやり始めたんですね。
こんなに社内で乱立しても、全部進められるわけがないし、同じようなことを各所バラバラにやってるのも無駄なので、これらに優先順位をつけ、ダブりや不要なものをさばいたり纏めることが必要でした。しかし、それぞれの案件には、それぞれの部門において創り上げた人の想いがあります。その理解無しに、仕分けはできません。というか、やっちゃいけません。
これだけの案件が乱立していた背景には、個々の部門・組織が個別最適を目指したことがありました。故に、全社としてのデジタル戦略が必要です。ただこういった内容は、社内でいえばDX推進チームではなく、経営企画部門のミッションでもある。この取組のリーダーシップをどちらが取るのか?ここにも、人の想いが絡んできました。気を使いあえば浮き球になり、球を取ると仕事を奪った、置いてけぼりにしたような雰囲気になったり。
もうひとつ重要なのが、既存IT部門との想いを合わせることです。我々DX推進チームは最近新しく設立されたのですが、同じ組織内には、既存のIT部門がありました。彼らは今まで必死に全社のITを支え、そして、DXに関しても提案をされてきました。しかしながら、昨年までは提案を却下されてばかりで辛いことも多かったようです。そこへ、いきなりDX推進チームなんてのが出来た。何やら社長もバックアップして、景気の良いことを話している。私だったら、面白く無いです。ふてくされたくなります。誰だってそうでしょう。ここを一枚岩のワンチームとして、同じ方向を向けるように整えることが超大切です。
私と同じく、突如発足したDX推進チームに配属された皆さんに声を大にして言いたいこと。既存IT部門の方々に対しては、こちらから丁重に歩み寄ることです。実は私は最初、フィフティフィフティの関係性で臨んで、失敗しました。既存IT部門の部長のご機嫌を損ねてしまいました。ITまわりについては、既存IT部門の方が新参者のDX推進チームよりもはるかに良く現状を理解されています。リスペクトし、教えを乞うことです。社内にDXを推進し、社外にアピールしていく、その最初の最初の入口として、ここは私は非常に重要な勘所だと思いました。私と同じ轍を踏まない様、皆様にシェアです。
人と人とを繋ぐ。
このように、人の想いを知る。このことがまず大前提です。そしてそのうえで、個別最適に進んでいる案件を、繋いでいく。どうしたってDX推進は、組織をまたいだプロジェクトになり、それをまとめることがどこかで要求されます。人と人とを繋いでいく、その意識を持ちながら、各所属のキーマンを見つけたり、共有の場を設定していきます。たとえば、デジタルに関する研修を各部門でバラバラに実施していたら、それぞれの部門の教育担当者を集めて、ひとつのプログラムを作る。スケジュール管理ツールをバラバラと導入していたら、一本化してコストメリットを出すなど。
また、繋ぐのは社内の人脈だけではありません。これだけ変化が激しく、求められるものが多様な時代、自社のリソースだけで対応することは良策とは言えません。自社WAYだけでは、幅の面でも、質の面でも、レベルが低いものになる可能性があります。世の中の技術やサービスの多様化、進歩のスピードをなめてはいけません。企業にとって重要な、コアな領域に関しては、外部コンサルやテックベンチャーなど、社外のスペシャリストの力を借りるべきです。
では、どうやってそのスペシャリストを選べば良いのかということですが、これはもう、実際にオフラインでもオンラインでも複数社にお会いして、自社の課題意識や社風に合うかどうかを見極めるしかありません。また一方で、会社としての契約を見据えた面談だけで無く、他にもセミナーや懇親会や知人の紹介など、色々な機会を活用して、社外に人脈を広げることを意識しておくことが大切です。そうしておくと、自ずと自社や自分にとって組みやすいパートナーが、ツテを辿ったりして見つかりやすくなります。
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現地現物を知る。
DXには3つあると、こちらの記事で書きました。
デジタイザーションにしろデジタリゼーションにしろデジタルトランスフォーメーションにしろ、現場の状況を知っていないと、その価値がわかりません。
例えば工場から「製造段階の調剤フローの間違いを、二次元バーコードを用いて防ぐ」という案件が報告されたとします。これだけ読んでも、内容がイメージつきません。現場を見て「今まではこれこれな手順で作業を進めていたけれど、今はこんな風に二次元バーコードをここに設置して、このタイミングで読み込むと、ミスがある場合はこのような警告が出てその先の工程に進めなくなるんです」みたいな説明を受けてこそ、初めて理解ができる。DXは会議室で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ。
現場を知ることは、その現場で働いている人たちの想いを知ることにも繋がります。自分自身が見て聞いて触れて入手した情報を「一次情報」と言いますが、現状理解には絶対に必要なことです。詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
創業の理念を知り、今に繋ぐ。
記事の最後に毎回おすすめ本を紹介していますが、今回紹介している本の中で共感したのが「DXは第二の創業」というフレーズ。物語の中で主人公は、創業者に創業の想いを聞きに行きます。そしてあらためて自社の創業の理念を理解し、デジタルを用いてその理念の実現に動き出します。
デジタイザーションやデジタライザーションは理念無くとも現場の効率化の為に自発的に生まれることがあると思いますが、デジタルトランスフォーメーションは、理念無きところには生まれないと思っています。デジタルが先では無く、理念が先。デジタルはあくまで手段なのです。
デジタルがここまで発展していなかった時代に創業した自社が、「第四次産業革命」とも呼ばれる、デジタル活用が前提のこの時代に改めて創業するとしたなら、どんなことをするだろうか。皆さんがお勤めの会社においても、考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回の備忘録
DXを推進するにあたって大切にすべきことは、実は超アナログ!
下記4つの勘所をぜひ、意識しながら進めてくださいね。
- 人の想いを知る。
- 人と人とを繋ぐ。
- 現地現物を知る。
- 創業の理念を知り、今に繋ぐ。
おすすめの一冊
今回は、本編でも触れたこちらの1冊。
「総務部DX課 岬ましろ」須藤憲司
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの”マネジメント”を読んだら』とか、『もしアドラーが上司だったら』とか、この手のビジネスや自己啓発系のライトノベルはたくさんありますが、「DX」に関するものは意外に珍しい気がします。帯には「今日から君をDX担当に任命する…、そんな無茶振りありですか!?」私と一緒やん!と思いました。読んでみたら、ライトノベルと侮るなかれ、この本の中には色々学びがありました。チームメンバーにも配布して読んでもらいました。おすすめです。